女性弁護士のきらきらブログ

2012年11月09日 | 中溝明子

第33回千葉少年問題研究会

昨日は、千葉大の後藤弘子先生が主催している千葉少年問題研究会に出席してきました。

 

八街少年院の方からのご報告。

実際の少年院での処遇内容についてお話を伺いました。

 

と、こんな風に書くと、なんだか堅苦しく思われてしまいますが、

これが最高におもしろかったのです☆

 

所長クラスの方から、統計データや一般的なお話を伺う機会はこれまでもあったのですが、

現場の方から実際の処遇の様子や処遇に当たって意識していること、理論的アプローチなどを聞いたのは初めてでした。

 

正直なところ、少年院の「集団行動訓練」って・・・ドン引きだったのですが、

昨日の発表を聞いて認識を改めました。

認知行動療法やアンガーマネージメントなどのアプローチが意識されていて圧巻!

ちゃんと根拠に基づいて行われていたんですね。

少年たちにも納得がいくまで、どうしてこれをしなければならないのか理由をきちんと説明しているとのこと。

 

報告者から最後に・・・

目新しいことはやっていない。基本に忠実に、でも少年の更生に役立つことであれば貪欲に吸収していきたい。

との言葉。

 

素晴らしい姿勢だと思いました。

私も見習いたい。

 

少年司法というくくりで言えば、私たちは同じ業界にいるような気がするのだけれど、
実際のところは「隣は何をする人ぞ」
他機関が何をしているのか、どんなことを考えているのかを知る機会があるというのは本当に貴重なこと。
この研究会は主催して下さっている後藤先生には本当に本当に感謝です。

 

 
2012年11月01日 | 中溝明子

今日から児童虐待防止推進月間★

今日から11月ですね。

今月は「児童虐待防止推進月間」です。

 

児童虐待とは

①身体的虐待:殴る、蹴る、逆さ吊りにするなど

②性的虐待:性的行為をする、性的行為を見せる、ポルノの被写体にするなど

③ネグレクト:食事を与えない、極端に不衛生にする、車内の置き去りなど

④心理的虐待:言葉による脅し、無視、他の兄弟との差別、DV目撃など

 

「あれ?子どもに虐待しているかも???」と思ったら、

お近くの児童相談所に連絡して下さい。

 

・・・でも、もし違ったらどうしよう?

 

それでもいいんです!

児童虐待防止法では

虐待と思われる場合に連絡するように!と規定されています。

 

本当に虐待なのか?

子どもは安全なのか?

それを確認するのは児童相談所や市町村の役割です。

もちろん、誰が連絡したのか、どんな連絡をしたかなどの秘密は守られます。

地域の皆さんからの情報が大切です!

 

【今年の標語】

気づくのは あなたと地域と 心の目

 

虐待と思ったらすぐお電話を!

【全国共通ダイアル】

0570−064−000

 

 

 
2012年10月25日 | 中溝明子

新たな未成年後見制度

本日は、千葉家庭裁判所家事部の方々と

「未成年後見制度」についてお話し合いをもちました。

正式な協議会ではなく、

ざっくばらんに意見交換をする会議です。

 

 

親権者がいない子どもについては未成年後見人を選任することができます。

親権者というのは、いわゆる「親」のこと。

子どもは社会的に弱い存在ですから、大人になるまでの間、

親は様々な権限と責任をもって子どもを守り育てなければなりません。

その権限と責任の両方を併せて「親権」と呼びます。

けれど、その親権者が死亡などによりいなくなってしまったとき、

残された子どもの権利を守る責任者を決めなければなりません。

親権同様の権限と責任を与えられた人、それが「未成年後見人」なのです。

 

この未成年後見の制度が、民法の一部改正によって変わりました。

これまで一人しか選任できなかった未成年後見人ですが、、、

●未成年後見人を複数名選任できる
●法人を未成年後見人に選任できる

ようになったのです。

 

未成年後見人の選択肢の幅が広がることで、

制度がより一層活用されること、

つまり、子どもの権利が守られるようになることが期待されているんですね。

 

そんな改正を受けて、

弁護士が未成年後見制度にどう関わっていくのか、

そんな話し合いを今日はしてきました。

具体的には、

親族と一緒に弁護士も未成年後見人になって

子どもを守り育ていくことができたらいいな〜というお話。

 

・・・あら、なんか軽い感じになっちゃいましたかしら?

本当はもうちょっと難しい議論もあったのですが、

でも簡単に言えば、こういうことなのだと思います。

 

未成年後見制度が活用されるよう

今後も弁護士会と裁判所は協議を続けていきます!

微力ながら私も頑張りますよ〜。

 

 

 

 
2012年10月17日 | 中溝明子

試験観察中の少年ー「盾シールドSHIELD」

今日は試験観察中の少年と面談をしました。

 

「試験観察」というのは、

少年事件の「非行少年」について、

家庭裁判所が「少年院送致」にすべきか「保護観察処分」にすべきかを迷ったとき、

本当に少年が社会の中でやっていかれるかどうかを見極めるため、

試験的に家に帰らせて様子を見るという

中間的な処分をいいます。

 

少年から見れば、

『自分の力で立ち直れるかどうかのチャンスをもらった状態』なんですね。

 

 

そんな試験観察中の少年に、読んでもらっている本があります。

それがコチラ↓

「盾シールトSHIRLD」(村上龍著)

 

 

これは何年か前に家庭裁判所の調査官から勧められた本。

コジマとキジマという二人の少年が、

ある老人から「シールド」の秘密を問われたことに端を発し、

その半生を通じて、

彼らが自分の中にある「シールド」を探していく様子が描かれている作品です。

 

二人の少年が見つけた「シールド」は

成長と共に変化し、その意味も変わっていきます。

ときには大切なシールドが無くなってしまう・・・

ときにはシールドの中身が分からなくなってしまう・・・

 

そんな二人のシールドを整理したあと、

「君にとってのシールドってなんだろう?」

「そのシールドの意味って何?」

「昔のシールドと今のシールドは違う?」

なんてことを

試験観察中の少年と一緒に考えていきます。

 

まるで国語の授業みたいで窮屈な作業かしら?

 

でも!!

自分の問題点を振り返り、そして今の自分の立ち位置を確認するには

とても役に立つ本なんですよ。

試験観察中の少年にはときどき利用させていただいています。

 

今日面談した少年とは

たっぷり2時間、シールドの読解と自分自身の振り返りをやってみました。

少年にとっては久しぶりの「お勉強」だったかもしれませんが、

イヤな顔せずガッツリ食いついてきてくれました!

現在、仕事も見つかり、少しずつ社会の中で自分の価値を見いだしている子です。

彼の頑張りが無事実るよう

できる限り後押ししていきたいと思っています。

 

 ※ 本人のご了解を得て掲載しております。
 
2012年10月12日 | 中溝明子

元 非行少年との再会

今日、かつて私が付添人を担当した「 非行少年」が尋ねてきてくれました。

 

当時、彼はなかなか大胆な事件を起こしてくれまして、

もしも成人だったらとても執行猶予なんてつかないような、

いわゆる重大事件を起こしてしまいました。

 

一度は過ちを犯した彼ですが、

家族の支え、学校の協力、そして何より彼自身の努力の甲斐あり、

なんとか中間審判により一時帰宅を許されました。

中間審判後、5ヶ月間、

彼は音を上げることなく、

自分の罪と、そして自分自身と真摯に向き合い、毎日、地道にひたむきに努力をしました。

家庭裁判所も彼の努力と変化を評価し、

無事、最終審判で「保護観察処分」になりました。

 

・・・あれから何年が経ったのかしら。

 

ひたむきな彼は地道な努力を続け、都内の有名私立大学に進学し、

今は情熱を傾けることのできる仕事を見つけたのだそうです。

熱心に自分の夢を語る彼の姿はとても頼もしく、

若いエネルギーに満ちあふれていました。

 

そんな彼と話している内に、私自身が勇気づけられていることに気が付きました。

 

人は完璧な存在ではないので、過ちを犯すこともあります。

けれど、人はちゃんと変われる、変わっていける。

そして、自分の道を自分の心と足で歩いていけるようになるんだ!

本当に本当にそうなんだ!と

彼が証明してくれたように感じました。

 

私は自分で少年事件を学んでいったのではなく、

彼を含め、多くの少年たちから「少年事件」を教えてもらっていたのだなと

しみじみ思いました。

 

自分の道を進み始めた「 少年」・・・

きっとこれからも困難なことはあるだろうし、

くじけることもあるだろうけれど、

自分から溢れるものを信じて頑張っていって欲しい!!

 

彼との再会に感謝して。

 

※ 本人のご了解を得て掲載しております。

 

 
2012年10月05日 | 中溝明子

ネット上のサービス提供と消費者契約法

近年、インターネットは急速に普及し、様々なネット上のサービスが提供されています。

それは一種のコミュニティを形成し、社会的にも認知されるようになってきました。

けれども、そういった多くのサービスは、

提供する会社が一方的にサービス内容の変更や提供の停止・中止ができるという利用規約が設定されています。

 

そんな利用規約に基づくサービスの利用停止や中止が行われた場合、

それはやむを得ないことなのでしょうか?

消費者はそれをそのまま受け入れざるを得ないのか?

ちょっと、消費者契約法の観点から考えてみました。

 

消費者契約法10条には「消費者の利益を一方に害する条項の無効」が定められています。

それは

① 消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項が

② 民法や商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合と比べて

信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する場合には

契約が無効になるという規定です。

 

何を持って信義誠実なのかという抽象的な議論をするのではなく、

他の関係法令との比較をしなさいよということですね。

 

で、ネット上のサービス、例えばアバターなどのサービスなんかについては、

どんな風に考えましょう?

一つに、

民法の「期限の定めのない契約関係」に関する「解約申し入れ期間の」規定が参考になるでしょう。

 

賃貸借契約の場合(民法617条1項)

・土地 1年

・建物 3ヶ月

・動産や貸席 1日

(なお、収穫の季節がある土地の賃貸借ならば、その季節の後次の耕作に着するする前

 

雇用契約の場合は2週間(民法627条1項)

 

委任契約の場合はいつでも(民法651条1項)

 

ネット上のサービス提供がどれと類似すると考えるか、難しいところですが、

「場」の提供と類似と考えるならば、

「建物」の賃貸借契約として「3ヶ月」が一つの目安になるのではないかと思われます。

 

けれども、これらの解約申し入れ期間というのは、

他の賃借物や雇用先などを見つけるために要する合理的な期間とも言えるわけですから、

ネット上のサービス提供が完全に中止・停止となり、

一切そのサービスの提供が受けられなくなる場合、

つまり本来的な意味における代替性がないサービス提供の中止・停止の場合には

別の考慮も必要なのではないかと思います。

 

また、ネットユーザーが全国、いや世界各国に広がっていることも考えると、

どうやってこの解約申し入れ、すなわちサービス提供中止・停止の告知をするか

という問題もありますよね。

 

そんなネット特有の事情を考えるならば・・・・

一方的なサービス提供中止・停止が有効といえるためには、

例えば、

① 告知方法が適切であったか?

② 告知からサービス提供中止・停止までの期間は合理的であるといえるか?

③ 代替性があるか?

④ 代替性がない場合には、それを補う何らかの代替的な措置が講じられたか?

といった要素を検討しなければならないのではないかと思います。

 

このような問題については、まだ議論が深まっておらず、

あくまで私見ではありますが、

この種の議論の一石になればと思います。

 

 

 

 

 
2012年10月04日 | 中溝明子

障害者虐待防止法

10月1日から施行の法律がたくさんありますね。

「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」もその一つ。

児童虐待防止や高齢者虐待防止の法律はありましたが、

ようやく障害者虐待防止のための法律ができました!!

 

障害者虐待の類型は、

①身体的虐待、②ネグレクト、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待

の5つ。

高齢者虐待の類型と同じです。

(ちなみに、児童虐待は①〜④のみ・・・。 子どもには基本的に財産がないからでしょうか?現実には遺産とか保険金とかを取得するケースがあるんですけどね。)

 

また、「障害者虐待」は

①養護者による障害者虐待

②障害者福祉施設従事者等による障害者虐待

③使用者による障害者虐待

であると規定されていますが、

当然のことながら、

「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない。」(法3条)との規定もあり!

つまり、

養護者じゃなくても、施設の職員じゃなくても、障害者を雇用する会社じゃなくても、

誰であろうとも障害者を虐待しちゃダメ!!!ってこと。

 

児童虐待、高齢者虐待にも同じような禁止規定があります。

児童も高齢者も障害者も、「社会的弱者」であるという点は共通しています。

社会的弱者に対する虐待がなくなることを願ってやみません。

 

 

ようやく障害者虐待防止法が施行されたと思ったら、

その施行を待っていたかのように、

千葉県南房総市にある精神障害者施設で虐待通報がなされたとの報道。

 

虐待者と報告されている方は虐待を否認しているとのことなので、

未だ真実は分かりませんが、

施設で暮らす方々の安心、安全な生活が守られることを切に願います。

そして、そんな思いを胸に頑張っていらっしゃる施設職員の方々に敬意を表します。

私たち弁護士も、専門分野や関わり方は違えども、同じ思いで頑張りたいと思います!

 

 
2012年10月02日 | 中溝明子, 大久保佳織

子どもの手続代理人研修

昨日,日弁連が主催する「子どもの手続代理人に関する連続研修」に参加してきました。

「子どもの手続代理人制度」とは,来年の1月1日から施行予定の家事事件手続法に新しく規定された制度です。

家事事件手続法では,子どもの意見を考慮しなければならないとの規定が定められるとともに,親権者や監護権者,面会交流などの事件において,子ども自身が新しく手続に参加をすることが認められており,そのために裁判長が手続代理人を選任する制度が設けられました。

 

離婚事件などで多くの場合,夫婦のどちらも自分が親権者にふさわしいと主張します。

そして,一番影響を受けるであろう子ども自身は当事者として参加できず,家庭裁判所の調査官が子どもと面接を行い,調査官の意見の中で子どもの意向・様子などを反映するというだけでした。

しかし,この新しくできた制度によって,手続代理人として選任された弁護士が子どもの立場にたって意向を聞き取り,その意見を手続に反映させることが可能になりました。

 

ただ,一口に子どもの意見を反映させるといっても,実際は非常に大変なことだということを今日の研修で学びました。

子どもはその発達段階によって様々な反応を示し,大人に対して不信感もあり,必ずしも代理人に本心を語るとも限りません。

今日の研修は,実際に子どもとの面接の際,どういう点に注意して聞き取りをしなければならないか,子どもは大人の言動をどのように受け取るのかをご教授いただき,大変に勉強になりました。

代理人はまず子どもに心を開いてもらい,信頼関係を築き,子どもに負担をかけないように調査しなければならず,大人に接する以上に子どもから聞き取りをするのは大変な作業です。

しかし,せっかくできた子どものための制度ですから,意味のあるものとなるように私たち弁護士も努力しなければいけないなと思っています。

 

 

 

 
2012年10月02日 | 中溝明子

家事事件ー非開示の申し出

平成23年5月25日、家事事件手続法が制定されました。

この法律には、調停事件や審判事件の手続きなどが規定されています。

施行日は平成25年1月1日なのですが、全国の家庭裁判所では、施行に先立ち、

現行法の運用の中でも実施可能なものは積極的に運用を開始しています。

もちろん、千葉家庭裁判所でも運用が始まっています。

調停や審判の「申立書」を事件の相手方に送付したり、

関係書類の閲覧が可能になったり、

できる限り当事者主義的な手続き保障ができるようになっています。

 

けれど、相手には見られたくない情報や書類ってありますよね?

これを見られたら、知られたら、他の人に迷惑かかっちゃう!とか。

 

家事事件手続法では、もちろん、そんなニーズもちゃんと把握しています。

資料などを提出するときに「非開示の希望の申出」をすれば、

裁判所にだけその書類を読んでもらうことができるのです。

といっても、何でもかんでも秘密では困ってしまうわけで、

非開示にできる要件が決まっています。

 

(1) 事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれがある。

(2)  当事者や第三者の私生活・業務の平穏を害するおそれがある。

(3) 当事者や第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,

その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じるおそれがある。

(4) 当事者や第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,

その者の名誉を著しく害するおそれがある。

(5)その他、当事者に記録の閲覧等を許可することを不適当とする特別の事情 がある。

 

なんだか難しい言葉が並んでいますが、

要は、「それを知られたら誰かがとっても困るんです〜」ってこと。

もちろん、なんとなくイヤ・・・なんていうのはダメ。

具体的な事情が必要なんです。

例えば、

過去にも相手が○○さんに文句を言ったことがあって、このことを知られたら○○さんをトラブルに巻き込んでしまう!

とか

学校と敵対関係になってしまったら子どもが安心して学校に通えなくなっちゃう!

とか。

 

・・・やっぱり、ちょっとややこしいかしら?

 

千葉家庭裁判所では、「非開示の希望の申出書」の書式を作成し、

10月1日から運用が開始されました。

これから家事事件の申立を考えていらっしゃる方は、

ご依頼の弁護士さんと、どの情報を開示するか?どんな事情があるか?なんてことも

ご相談なさるとよいと思います。

 

 

 

 

 
2012年10月01日 | 中溝明子

違法ダウンロード刑事罰化ー本日より施行

違法ダウンロード行為の罰則などが定められた改正著作権法が本日より施行となりました。

違法にアップロードされた音楽や映像を、違法と知りながらダウンロードする行為については、

平成21年の改正で、たとえ私的使用目的であっても違法とされたのですが、

今回の改正では、このうち有償の著作物を違法ダウンロードする行為に対して罰則が設けられました(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(又はこれを併科))。

但し、この刑事罰の規定は親告罪で、権利者からの告訴がなければ公訴は提起できません。

 

様々な議論を呼んだ「違法ダウンロードの刑事罰化」ですが、

文化庁では分かりやすいQ&Aが公開されています。

子どものためのQ&Aもありますので、是非一度ご確認いただけるとよいと思います。

 

文化庁ー違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A

 

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