10月1日から施行の法律がたくさんありますね。
「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」もその一つ。
児童虐待防止や高齢者虐待防止の法律はありましたが、
ようやく障害者虐待防止のための法律ができました!!
障害者虐待の類型は、
①身体的虐待、②ネグレクト、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待
の5つ。
高齢者虐待の類型と同じです。
また、「障害者虐待」は
①養護者による障害者虐待
②障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
③使用者による障害者虐待
であると規定されていますが、
当然のことながら、
「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない。」(法3条)との規定もあり!
つまり、
養護者じゃなくても、施設の職員じゃなくても、障害者を雇用する会社じゃなくても、
誰であろうとも障害者を虐待しちゃダメ!!!ってこと。
児童虐待、高齢者虐待にも同じような禁止規定があります。
児童も高齢者も障害者も、「社会的弱者」であるという点は共通しています。
社会的弱者に対する虐待がなくなることを願ってやみません。
ようやく障害者虐待防止法が施行されたと思ったら、
その施行を待っていたかのように、
千葉県南房総市にある精神障害者施設で虐待通報がなされたとの報道。
虐待者と報告されている方は虐待を否認しているとのことなので、
未だ真実は分かりませんが、
施設で暮らす方々の安心、安全な生活が守られることを切に願います。
そして、そんな思いを胸に頑張っていらっしゃる施設職員の方々に敬意を表します。
私たち弁護士も、専門分野や関わり方は違えども、同じ思いで頑張りたいと思います!
昨日,日弁連が主催する「子どもの手続代理人に関する連続研修」に参加してきました。
「子どもの手続代理人制度」とは,来年の1月1日から施行予定の家事事件手続法に新しく規定された制度です。
家事事件手続法では,子どもの意見を考慮しなければならないとの規定が定められるとともに,親権者や監護権者,面会交流などの事件において,子ども自身が新しく手続に参加をすることが認められており,そのために裁判長が手続代理人を選任する制度が設けられました。
離婚事件などで多くの場合,夫婦のどちらも自分が親権者にふさわしいと主張します。
そして,一番影響を受けるであろう子ども自身は当事者として参加できず,家庭裁判所の調査官が子どもと面接を行い,調査官の意見の中で子どもの意向・様子などを反映するというだけでした。
しかし,この新しくできた制度によって,手続代理人として選任された弁護士が子どもの立場にたって意向を聞き取り,その意見を手続に反映させることが可能になりました。
ただ,一口に子どもの意見を反映させるといっても,実際は非常に大変なことだということを今日の研修で学びました。
子どもはその発達段階によって様々な反応を示し,大人に対して不信感もあり,必ずしも代理人に本心を語るとも限りません。
今日の研修は,実際に子どもとの面接の際,どういう点に注意して聞き取りをしなければならないか,子どもは大人の言動をどのように受け取るのかをご教授いただき,大変に勉強になりました。
代理人はまず子どもに心を開いてもらい,信頼関係を築き,子どもに負担をかけないように調査しなければならず,大人に接する以上に子どもから聞き取りをするのは大変な作業です。
しかし,せっかくできた子どものための制度ですから,意味のあるものとなるように私たち弁護士も努力しなければいけないなと思っています。
平成23年5月25日、家事事件手続法が制定されました。
この法律には、調停事件や審判事件の手続きなどが規定されています。
施行日は平成25年1月1日なのですが、全国の家庭裁判所では、施行に先立ち、
現行法の運用の中でも実施可能なものは積極的に運用を開始しています。
もちろん、千葉家庭裁判所でも運用が始まっています。
調停や審判の「申立書」を事件の相手方に送付したり、
関係書類の閲覧が可能になったり、
できる限り当事者主義的な手続き保障ができるようになっています。
けれど、相手には見られたくない情報や書類ってありますよね?
これを見られたら、知られたら、他の人に迷惑かかっちゃう!とか。
家事事件手続法では、もちろん、そんなニーズもちゃんと把握しています。
資料などを提出するときに「非開示の希望の申出」をすれば、
裁判所にだけその書類を読んでもらうことができるのです。
といっても、何でもかんでも秘密では困ってしまうわけで、
非開示にできる要件が決まっています。
(1) 事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれがある。
(2) 当事者や第三者の私生活・業務の平穏を害するおそれがある。
(3) 当事者や第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,
その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じるおそれがある。
(4) 当事者や第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,
その者の名誉を著しく害するおそれがある。
(5)その他、当事者に記録の閲覧等を許可することを不適当とする特別の事情 がある。
なんだか難しい言葉が並んでいますが、
要は、「それを知られたら誰かがとっても困るんです〜」ってこと。
もちろん、なんとなくイヤ・・・なんていうのはダメ。
具体的な事情が必要なんです。
例えば、
過去にも相手が○○さんに文句を言ったことがあって、このことを知られたら○○さんをトラブルに巻き込んでしまう!
とか
学校と敵対関係になってしまったら子どもが安心して学校に通えなくなっちゃう!
とか。
・・・やっぱり、ちょっとややこしいかしら?
千葉家庭裁判所では、「非開示の希望の申出書」の書式を作成し、
10月1日から運用が開始されました。
これから家事事件の申立を考えていらっしゃる方は、
ご依頼の弁護士さんと、どの情報を開示するか?どんな事情があるか?なんてことも
ご相談なさるとよいと思います。
違法ダウンロード行為の罰則などが定められた改正著作権法が本日より施行となりました。
違法にアップロードされた音楽や映像を、違法と知りながらダウンロードする行為については、
平成21年の改正で、たとえ私的使用目的であっても違法とされたのですが、
今回の改正では、このうち有償の著作物を違法ダウンロードする行為に対して罰則が設けられました(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(又はこれを併科))。
但し、この刑事罰の規定は親告罪で、権利者からの告訴がなければ公訴は提起できません。
様々な議論を呼んだ「違法ダウンロードの刑事罰化」ですが、
文化庁では分かりやすいQ&Aが公開されています。
子どものためのQ&Aもありますので、是非一度ご確認いただけるとよいと思います。
昨日、千葉大学の後藤弘子先生が主催する「千葉少年問題研究会」が開催され、
中溝と大久保が研究会に出席いたしました。
千葉少年問題研究会には、学者や学生だけではなく、弁護士、裁判所、鑑別所、保護観察所、少年院、児童相談所、子どもに関わるNPO法人など関係機関の有志が集まっています。そして、それぞれの機関が、どのような仕事をしているのか、現場ではどのような課題があり、どのような取り組みをしているかといった報告をし、意見交換をしています。
今回は、研究会初の教育現場からのご報告。
スクールカウンセラーの寶川先生から
「スクールカウンセラーからみた子どもの状況」というテーマでお話を頂きました。
最近の気になるこどもたちの様子や
いじめの構造が変化してきたこと、
そして、いじめなどの問題について学校側でどのように対応していくのかといった
お話を伺いました。
スクールカウンセラーの存在は知っていましたが、どんなことをしているのか、イマイチよく分かっていなかったので、
とても貴重でためになるお話でした。
寶川先生の報告の中で印象的だったのは
学校内で問題が起きたときは、「丸抱えしない」「丸投げしない」
関係機関の連携と情報の共有が大事なのだなと思いました。
考えてみれば、私たちは同じ子どもに関わるにしても、
すぐとなりの機関が何をしているか、よく分かっていないように思います。
みんな同じ「子どもの幸せ」を考えているのに、連携すべき機関が近くて遠い存在では機能しませんよね。
司法、矯正、行政、福祉といった分野を超えて
ただ一つ「子どもたち」という共通点で繋がることができる
この研究会って本当に素晴らしいなと思っています。
研究会を主催されている後藤先生にはいつも感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。
研究会での報告や議論は多岐にわたりますので、10聞いた内の1しか理解していないかも・・・?
と思うこともありますが、
研究会で得た知識や情報は、少しでも私たちの業務に還元していきたいと思っております。
現在、DVやストーカーの被害者については、
加害者からの住所探索を防止するために
加害者からの住民基本台帳の閲覧や住民票等の交付や閲覧などに制限をかけることができます。
いわゆる「住基ブロック」と呼ばれる制度ですが、
この度、総務省は、この被害者に「児童虐待を受けた児童」を含める扱いを開始すると発表しました。
運用は10月1日からとのこと。
総務省ー住民基本台帳制度におけるドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等の被害者の保護のための措置の一部改正
虐待環境から保護された子どもが、ようやく自立していこう!ってときに
居場所を探されてしまうかも知れない!どうしよう!!・・・・なんてことは、
何年も前から現場では問題になっていたことなんです。
現場の声が反映されるまで、随分時間がかかったな〜という思いもありますが、
まずは改正された事実を喜びたい。
少しでも多くの子どもたちが、自分らしく幸せに生きられることを祈って。
昨日は、四街道市保健センターが主催する「おやこの支援勉強会」の講師にお招きいただき、
「こどもの人権から見るDV・虐待・おやこ支援〜支援者に必要な法知識〜」
というテーマで2時間ほどお話をさせていただきました。
勉強会には、実際に現場で支援をされている方々がご出席され、
たくさんのご質問もいただきました。
現場の悩みって・・・本当に難しいですよね。
今回の勉強会で考えさせられたのは、
同じ「家庭内の暴力」なのに
いわゆるDV(母親目線)と虐待(子ども目線)では
随分違うものだなぁということ。
DV支援では「加害者からの切り離し=離婚」
という
ある意味、対等な個人同士の対立になりますが、
虐待だと「加害者からの保護=親権との対立」
という
そもそも権利がある人から、
その権利をどう制限するかという問題になるんですね。
同じ家庭の中で起きた暴力の被害なのに、
目線を変えるだけで
かなり違う問題になってくるんですね。
もちろん、適用される法律も違います。
民法、児童福祉法が改正されてから、
こういった講演や勉強会の講師にお招きいただく機会が増えているのですが、
私自身、講演などを通じて問題の深さや複雑さを改めて考えさせられています。
みなさんとお会いする機会、そして学びの機会を頂き、
本当にありがとうございました。
今月は、どういうわけか、
仕事の関係で、児童相談所や児童養護施設を訪問する予定がたくさん入っています。
そんな訪問の際、小学校中学年のお子さんとお話する機会がありました。
まずは自己紹介。
そして、弁護士ってどんなことをする人なのか説明をしようと思ったのですが・・・
中溝「『べんごし』って聞いたことある?」
子ども「・・・ない」
中溝「えっと、じゃあ、TVで刑事ドラマとか見たことない?」
子ども「・・・ない」
中溝「えっと、えっと、それじゃあ、『逆転裁判』っていうゲーム知ってる?」
子ども「・・・知らない」
・・・とりつく島がありません orz
でも、へこたれませんよ。
そんなこともあろうかと、ちゃんと説明文章考えていきました。
以下、私が説明した「弁護士さんってこんなひと」
ーーーーーー
弁護士っていうのは、固い言葉でいえば、法律の専門家・法律に詳しい人なんです。
法律って聞いたことあるかな。法律っていうのはね、この国のルールなの。
この日本という国の中でみんな生活しているよね。
みんなが仲良しで暮らせるのが一番なんだけど、なかなかそうはいかない。
ときには喧嘩になったりすることがあるよね。
話し合いで終わればいいけど、そうもいかないこともある。
そんなとき、
こういう場合はこっちが勝ち、こういう場合はこういうことにしましょうっていうルールを決めておけば、
喧嘩も終わるし、仲直りもできるよね。
そういう「国のルール」が「法律」なんだ。
弁護士は、そんな法律をたくさん勉強してきた人なんです。
だから、
法律が関係するような悩みごとがあれば、お話を聞いてアドバイスしたり、
法律が関係する喧嘩が起きたときに、国のルールがこうなっているから話し合いで解決しようようって頑張ったり、
それからどうしても仲直りできないようなときに「裁判」っていうのをしたり。
そんな法律に関係する仕事をするのが弁護士なんです。
ーーーーーー
書いてみて思います。漢字ばっかり!!
あんまり分かってもらえなかったかも・・・。
弁護士の説明って難しいです。
私たちの事務所は、偶然にも女性弁護士だけの法律事務所です。
ところで・・・「女性弁護士」に求められるものって一体どんなものなんでしょう?
先日、無料法律相談会にお越し頂いたご相談者様から貴重なご意見を頂きました。
ご本人様のご了解を得られましたので、ご紹介させていただきますね。
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結婚、出産、育児、離婚など女性のライフステージではたくさんのことが起こります。
そんな出来事に共感しながら寄り添ってもらえるのは、やっぱり女性弁護士ならではだと思います。
共感しながらお話を聞いていただいてなぁと感じるので、
こちらも安心してお話しすることができます。
(ご相談者様より(60代女性))
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貴重なご意見を頂きました。本当にありがとうございます。
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結婚、出産、育児、離婚はもちろん、女性弁護士が皆経験しているわけではありません。
けれど、私たちは、多くの方と接し、また多くの勉強をしながら、そういった立場の方々の気持ちを考えてご依頼を受けることができるでしょう。それは女性だけではなく、男性でも同じことが言えるのだと思います。
ただ、ご依頼者様が女性の場合には、
特にこの「共感」を期待されているのだということを改めて考えさせられました。
・
・
でも、「共感」って難しい・・・。
単純に「あ〜分かる分かる!」なんていうことじゃないですよね。
きっと「情熱を持ってお話を聞くこと」
それが「共感」と呼ばれるものではないかしら?
・
ただ事務処理をするのも弁護士の仕事かも知れません。
けれども、私たちは、できる限り、ご依頼者様、ご相談者様、
お一人お一人の気持ちを大切に
そして「共感」の気持ちを忘れずにいたいと思います。