1 耕作放棄地の現状
耕作放棄地が増えている。
全国の耕作放棄地は39.6万ヘクタールある(平成22年)。埼玉県の面積にほぼ相当するほどの広さだ。 昭和60年と比較して,平成22年には全国で耕作放棄率は3.5倍の増加ぶりだ。 千葉県はどうか。千葉県の耕作放棄地は,平成22年時点では1万7963ヘクタールであり,昭和60年と比較して5.7倍に増加している。耕作放棄率で昭和60年と比較すると千葉県は6.7倍に増加し,千葉県の増加率は急激である。 確かに,総武本線で千葉から銚子へ電車で向かうと,線路沿いに流れる農地・畑地の中に農地の原形を失うほどに荒れた土地(耕作放棄地)が点在しているのを見つけることができる。 中には山林のようになってしまったり,産業廃棄物の捨て場所になったりしている。耕作放棄地の問題は,都市近郊の農業立国千葉県の大きな問題なのだ。
2 耕作放棄地の定義と発生原因
ところで,耕作放棄地は,農林業センサスにおいて,「以前耕作していた土地で,過去1年以上作物を作付けせず,この数年の間に再び作物を作付けする考えのない土地」を言うとされており,農家等の意思により再び作物を作付けする考えのないことが前提になっている。 平成22年の千葉県の経営耕地面積9万0321ヘクタールを100とすると,耕作放棄地1万7963ヘクタールは16.6パーセントである。全国の耕作放棄地率9.8パーセントの1.7倍である。
つまり,千葉県においては経営耕地面積の2割弱の農地が,農家の人々によってこの数年間に再び作付けする意思がないと考えられているのだ。 なぜ,農家の人々は再び作物を作付けする意思がないというのか。 この耕作放棄地の発生原因については,「高齢化・労働力不足」が最も高く,「地域内に引き受け手がいない」も比較的高いとされ,「農産物の価格低迷」や「収益の上がる作物がない」といった経営条件の悪化も大きな要因とされている。
3 耕作放棄地対策は?
日経新聞に,東急不動産が作物を栽培せずに放置されている農地の再生事業に乗り出すことになり,その第1弾として千葉県内の宅地用に取得した未開発のままの農地を含む80ヘクタールを3年かけて再整備するという記事が載っていた(平成26年3月5日日経新聞朝刊記事)。
企業の農業参入の記事が最近目につく。イオンは全国の耕作放棄地などを活用し平成27年度までに直営農場を500ヘクタールに拡げ,吉野屋HDは平成25年10月に福島県の地元農家などと協力して農業生産法人を設立し平成29年度までに栽培規模を13ヘクタールまで拡げるのだという。
4 農地法の改正と耕作放棄地
企業の農業参入の転換点は,平成15年,同17年の耕作放棄地農地の農業生産法人以外へのリース容認と平成21年の農地法改正である。 まず,平成15年から,構造改革特区制度により,一部の地域(特区)では耕作放棄地の農地について,農業生産法人以外の法人へのリースが容認されることになった。平成17年には特区以外にも同様のリースが容認されることになった。
続いて,平成21年に農地法が改正された。 農地法第1条の目的が,「この法律は,農地はその耕作者自らが所有することを最も適当であると認めて,耕作者の農地の取得を促進し,及びその権利を保護し,並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためにその利用関係を調整し,もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とする。」(旧法第1条)とされていたのを,「この法律は,国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のために限られた資源である,かつ,地域における貴重な資源であることに鑑み,耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ,農地を農地以外のものにすることを規制するとともに,農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し,及び農地の利用関係を調整し,並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより,耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り,もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」と改正された。 つまり,農地法の目的は,耕作者の農地取得の促進から踏み出したことになる。この改正により,賃貸借と使用貸借に限り農業生産法人以外の法人でも農地法3条許可が認められようになった。
これらの政策によって,農業生産法人以外の法人が農業に参入することが可能になったのである。
5 耕作放棄地対策の担い手
実は,耕作放棄地対策は,農業への参入を意図する企業に委ねれば解決するというほど簡単な問題ではないはずだ。
農業を担ってきた耕作者から,「農業は語るものではなく実践するものだ。」「自力で食料を得て生きることができる農業は素晴らしい」などとの書き込みがあったりして,企業の農業への参入を冷ややかに見る向きもある。
耕作放棄地対策の担い手は誰であるべきなのか。
昨日は、千葉県内のある福祉施設さんで職員研修の講師をつとめてまいりました。
職員さんたちは皆さん、和気あいあいとしていて
朝摘みのあま〜い苺とコーヒーを頂きながらの研修♪
こんな柔らかい雰囲気なのに
テーマは「離婚・親子に関わる法律問題」
しかも、事前にヒヤリングした職員さんたちの要望は
・調停手続き
・審判手続き
・人事訴訟手続き
・強制執行
・子の引き渡しの手続き
・離婚後にできること
・親権
・養子縁組
・認知
・DV被害などの刑事手続きや民事上の請求
などなど
すごいボリュームですよね!
これだけテーマがあれば、1年間くらいの講義ができてしまいそうなほどっっ
でも、いつもお世話になっている施設さんなので、頑張りましたよ!
2時間半くらい、法律や手続き上のポイントなどをお話ししてきました。
日頃の業務に少しでもお役に立てたら幸いです。
研修終了後には、すてきなご褒美☆
朝摘みのあま〜い真っ赤な大きい苺ちゃん♪
とってもおいしかったです!ありがとうございましたっっ
非嫡出子(法律上の夫婦でない男女の間に生まれた子ども)の相続分を嫡出子(法律上の夫婦の間に生まれた子ども)の相続分の2分の1とする民法第900条4号ただし書き前半部分の規定は法の下の平等に反するとして最高裁判所の違憲判決(平成25年9月4日大法廷判決)が出されたことは記憶に新しい。それに基づいて,平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,民法第900条4号ただし書き前半部分が削除された。
これを機に,非嫡出子にまつわる親子関係の基本を遡っておさらいしてみよう。
1 親子関係の発生
法律上の夫婦でない男女の間に生まれた非嫡出子につき,母親と子どもとの親子関係は,分娩の事実によって当然発生するとされている(最高裁昭和37・4・27)。
では,父親と非嫡出子の親子関係はどうだろうか。民法779条は,父親が認知することによって親子関係が発生すると定めている。つまり,法律上の夫婦でない男女の間に生まれた子どもについては,両親が事実上の夫婦としてともに暮らしていたとしても,それだけでは父親が誰か分からないから,父親が名乗りを上げて認知することを必要とするとしているのだ。
2 非嫡出子が嫡出子の身分を獲得する「準正」
次に,非嫡出子が嫡出子に変更される場合があるのだろうか。
非嫡出子であった者が嫡出子の身分を取得することを「準正」という(民法789条)。準正には,「婚姻準正」と「認知準正」の2種類がある。つまり,嫡出子に変更される場合に2種類があるということだ。
婚姻準正というのは,法律上の夫婦でない男女の間に生まれた子どもを,先に父親が認知した後にその男女が婚姻する場合をいう。父親が認知したときに非嫡出子と父親との間に親子関係が発生し,その後両親が入籍すれば両親の婚姻により嫡出子の身分を取得することになる。
これに対し,認知準正というのは,両親の婚姻より先に生まれた非嫡出子について,まず両親が婚姻し,その後父親が認知する場合である。
3 認知の効力を有する嫡出子出生届
それでは,婚姻前に生まれた非嫡出子について,戸籍に認知されたという記載がないのに,嫡出子の扱いを受けることがあるのだろうか。
次のような例を考えてみよう。大正時代に結婚したご夫婦太郎さんと花子さんには入籍前にひとりの子どもさん勝男さんがいたとしよう。勝男さんは5月1日に生まれたが,太郎さんと花子さんは5月10日に祝言をあげ入籍を済ませた。取り寄せた戸籍謄本によれば,勝男さんは太郎さんと花子さんの嫡出子として扱われ,太郎さんが亡くなった後,家督相続をしていたことが分かる。
しかし,戸籍によれば,父親の太郎さんが婚姻前に認知したという記載がどこにもなく,婚姻後にも認知したとの記載が戸籍に出ていない。この場合,勝男さんは,いつどちらの準正によって嫡出子に変更されたのか。
答えは,戸籍法62条の「認知の効力を有する嫡出子出生届」の規定による。戸籍法62条は,父母婚姻後に両親が嫡出子出生届をしたときには,別に認知の届出がなくても認知の効力を生ずると定めたものである。
勝男さんの場合も,勝男さんが生まれた後,両親が婚姻届を出してから,勝男さんの出生届を2人で出したことにより,認知をしたとみなす訳である。
戸籍謄本には,両親が勝男さんの出生届を出したとの記載があった。
認知の文字は1文字もないのだが,戸籍法62条により,婚姻前に出生した非嫡出子について,両親が婚姻し,子どもの出生届を両親がともに出せば,認知と見なすのである。この場合は認知準正にあたることになる。
4 違憲判決と準正
嫡出子の相続分と非嫡出子の相続分に2分の1の差をもうけていた時代には,嫡出子かどうかということは大いに問題であった。
しかし,最高裁の違憲判決により,そもそも非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定自体が違憲であることが確認された。民法の当該規定も改正され,平成25年9月5日以降に開始した相続について,新法が適用される。
そうなると,準正の規定の持つ意味も今後変わっていくであろう。
前回のブログでお知らせしましたシンポジウム☆
1月25日に無事開催することができました。
定員300名のところ、360名の事前申し込みをいただき、
当日もほぼ満席!
盛況のうちにシンポジウムを終えることができました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
シンポジウムでは
虐待などで帰る場所をなくした子どもたちの支援をされている方々から
実際の現場のお話を伺うことができました。
落合恵子さんやパネリストの方々のお話は
「支援」なんて簡単な言葉では言い尽くせないほどの思いにあふれていて、
胸が熱くなり、涙がこぼれてきました。
千葉でも早く「子どもシェルター」を開設できるよう頑張っていきたいと
思いを新たにしました。
なお、
シンポジウムの様子は千葉日報さんやNHKさんが報道して下さいました。
感謝!
私たちの事務所は、全員、千葉県弁護士会子どもの権利委員会に所属しているのですが、
その委員会のメンバーを中心に、
千葉県に初の「子どもシェルター」を立ち上げようと活動をしています。
そして、今月、シェルターの運営母体となる「NPO法人子どもセンター帆希」が設立します。
この設立を記念してシンポジウムが開催されることとなりました。
家庭や地域で居場所のない子どもが安心して暮らせる「子どもシェルター」をテーマに
子どもたちのために出来ることを考えるシンポジウムです。
前半の基調講演では作家の「落合恵子さん」をお招きし、
後半は、児童福祉の専門家によるパネルディスカッションを予定しています。
そして・・・
恥ずかしながら私がパネルディスカッションのコーディネーターを務めることとなりました!
なので、少しシンポジウムの宣伝させてくださいね。
申し込みはネットからでも可能です。 ↓
けやき会館は約300人ほど入る会場なのですが、
すでに200人ほどのお申し込みがあったと聞いております。
もしもご興味のあります方はお早めにお申し込みくださいませ。
既に皆さんもニュースでご存じかと思いますが、
今日、民法が改正され、
非嫡出子(いわゆる婚外子)の法定相続分が嫡出子と同等になることが決まりました!
ようやく!ようやく!ようやく!ここまできましたね。
学生のころ、初めて民法を習ったとき、
「生まれてくる子に罪はない・・・」
と疑問と苛立ちを覚えたこと。
いえ、きっとこの規程が出来た115年も前からずっと
多くの人が同じ疑問や苛立ち、
いえ、悲しみや苦しみをもっていたことでしょう。
今日は、正しいことが形になった歴史的な日です!
戸籍法の改正にまでは残念ながら及びませんでしたが、
こちらも近い将来、変わる日が来ることを信じて。
そうそう、
この改正民法は最高裁の違憲判決の出た今年9月25日から遡って適用になるそうです。
相続の計算、間違えないようにしないといけませんね。
昨日は、NPO法人里親支援のアン基金プロジェクトさんからのご依頼で、
の研修を担当してまいりました。
アン基金さんは、里親家庭等で暮らす里子さんたちの支援をされている団体で、
この「自立支援プログラム」は
里親家庭からまもなく自立していく「高校2年生、3年生」を対象とするプログラムです。
「自立」っていう言葉を聞いて、皆さん、どんなことをイメージします?
まずは就職して、それから、アパート契約して
自炊して、掃除して、洗濯して・・・
住民票の移動や光熱費や携帯代の支払いや
銀行口座の管理やら・・・・
私たちがイメージすることってこんな感じでしょうか?
確かに、生きていく上での「技術」や「生活スキル」ってとても大事なこと。
でも、誰だって、最初は上手くなんかできなくって、
少しずつ失敗しながら、自分なりのやり方を身につけていくものですよね。
そんな技術やスキルよりも大事なことは
困ったな〜どうしようかな〜っていう「自分の気持ちに気が付くこと」
そして、
困ったときに「適切にSOSを出せること」ではないかと思っています。
アン基金さんのプログラムの説明を伺ったときに、
この大事なことをちゃんと考えて、どうやったら子どもたちが楽しく、
自然と身につけられるかを考えてプログラムを構成されていらっしゃるな〜と感じました。
素敵なプログラムです!!
私が担当したのは
なんだか難しそうな話しで、テーマを見ただけで眠たくなっちゃいますよね(笑)
そう、法律の話しって、眠たくなっちゃうんです。
当日は、高校生7名と車座になって、
悪徳商法、雇用、交通事故、相続などの問題についてお話ししました。
盛り上がったのは、
「消化器を売ってみよう!」というテーマでのロールプレイ!
子どもたち、なかなかセールスが上手です。
そして、消費者側の子もなかなか上手く粘ってくれました(笑)
また、雇用問題では法定労働時間や時間外労働の割増賃金など、
みんなよく知ってるな〜と感心しました。
午前中は調理実習でお腹いっぱいに食べてきた子どもたち。
車座で座って、法律の話しを聞いたら、そりゃ眠くなる。うん、うん、分かるよ。
その眠気に勝てるようなお話をあまりできなかったのかな・・・と
我が身を反省するばかり。
子どもたちの優しさとスタッフの心遣いでなんとか2時間を乗り切りました。
これまで専門家相手の研修や講師ばかりだったので、
今回のような研修は本当に鍛えられます!
子どもたちには教わることばかり。自分の未熟さを思い知らされて帰ってきましたが、
もちろん、子どもたちからパワーもいっぱいもらってきました。
これからも精進します!!
ご無沙汰しております。大久保です。
大分涼しくなって、過ごしやすくなってきましたね。
さて、今日は本のご紹介です。
このたび千葉県弁護士会で「慰謝料算定の実務 第2版」を出版しました。
私も「第12章 子どもの権利」の「第5節 体罰、不適切な指導・退学処分」の部分の執筆を一部担当いたしました。
執筆するにあたり、チームでたくさんの事例を調べてまとめるという作業を繰り返し、勉強になったなぁと思います。
私が担当したのはごく一部ですが、他にたくさんのテーマが取り上げられています。男女間のトラブル、交通事故、消費者取引、刑事事件など・・・。
一般の方はなかなか手にする機会はないと思いますが、法律相談の際に活用していきたいと思います。
慰謝料についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度相談にいらしてくださいね。
もう8月も終わりですね・・・
皆さん、楽しい夏休みをお過ごしになりましたか?
さて、
来週から始まる9月は、厚生労働省が
として、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対し、集中的に監督指導等を実施します!
具体的には。。。
労働基準監督署及びハローワーク利用者等からの苦情や通報等を端緒に、
離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等を把握し、
監督指導を集中的に実施するとのことです。
特に重点的に確認していく事項として次の3点が示されています。
これ以外にも、
過重労働があり、労働基準関係法令違反の疑いがある企業等に対して、重点的な監督指導を実施し、
監督指導の結果、法違反の是正が図られない場合は、是正が認められるまで、ハローワークでの職業紹介の対象としない措置も講ずるとのことです。
また、9月以降も取り組みは続き、重大・悪質な違反が確認された企業等については、
送検し、公表していく方針が示されています。
また、厚労省では、9月1日(日)に、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に関する「電話相談」を実施します。
【相談電話番号】
なくしましょう ながい残業
0120 - 794 - 713
全国一斉の電話相談は9月1日のみですが、
その後も厚労省では「総合労働相談コーナー」「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報を受け付けしています。
ブラック企業が大きな社会問題となっている今、厚労省が思い切った取り組みを始めます。
労働問題は訴訟等ではなかなか解決が難しいことも多いのも事実。
今回の厚労省の方針では、パワハラへの対応も打ち出されていますので、この施策が功を奏することを祈るばかりです。
詳しいことは、厚労省のHPに掲載されていますので、
お悩みの方は一度相談されてみてはいかがでしょうか?
酷暑が続いておりますが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。
ブログの更新もすっかりご無沙汰になってしまい、申し訳ありません。
ブログの更新ができなかった間、少々忙しくしておりましたが・・・・
その忙しい要因の一つが「形」となって届きました☆
児童福祉関係の仕事でご一緒しております淑徳大学の稲垣美加子教授からお声かけいただき、
「第一章 子ども家庭への支援」の一部を執筆いたしました。
この本は、自治体の相談対応の職員さん向けの解説事例集なので、
一般の方が手に取られる機会はないと思いますが、
間接的にでも、困っていらっしゃる方のお力になれれば幸いに思います。
稲垣教授は尊敬する大学の先生の一人です。
優秀なのはもちろんのこと、勇敢で優しくて、女性としても尊敬している方です。
執筆の機会を頂きましたことに感謝☆