女性弁護士のきらきらブログ

2012年10月17日 | 中溝明子

試験観察中の少年ー「盾シールドSHIELD」

今日は試験観察中の少年と面談をしました。

 

「試験観察」というのは、

少年事件の「非行少年」について、

家庭裁判所が「少年院送致」にすべきか「保護観察処分」にすべきかを迷ったとき、

本当に少年が社会の中でやっていかれるかどうかを見極めるため、

試験的に家に帰らせて様子を見るという

中間的な処分をいいます。

 

少年から見れば、

『自分の力で立ち直れるかどうかのチャンスをもらった状態』なんですね。

 

 

そんな試験観察中の少年に、読んでもらっている本があります。

それがコチラ↓

「盾シールトSHIRLD」(村上龍著)

 

 

これは何年か前に家庭裁判所の調査官から勧められた本。

コジマとキジマという二人の少年が、

ある老人から「シールド」の秘密を問われたことに端を発し、

その半生を通じて、

彼らが自分の中にある「シールド」を探していく様子が描かれている作品です。

 

二人の少年が見つけた「シールド」は

成長と共に変化し、その意味も変わっていきます。

ときには大切なシールドが無くなってしまう・・・

ときにはシールドの中身が分からなくなってしまう・・・

 

そんな二人のシールドを整理したあと、

「君にとってのシールドってなんだろう?」

「そのシールドの意味って何?」

「昔のシールドと今のシールドは違う?」

なんてことを

試験観察中の少年と一緒に考えていきます。

 

まるで国語の授業みたいで窮屈な作業かしら?

 

でも!!

自分の問題点を振り返り、そして今の自分の立ち位置を確認するには

とても役に立つ本なんですよ。

試験観察中の少年にはときどき利用させていただいています。

 

今日面談した少年とは

たっぷり2時間、シールドの読解と自分自身の振り返りをやってみました。

少年にとっては久しぶりの「お勉強」だったかもしれませんが、

イヤな顔せずガッツリ食いついてきてくれました!

現在、仕事も見つかり、少しずつ社会の中で自分の価値を見いだしている子です。

彼の頑張りが無事実るよう

できる限り後押ししていきたいと思っています。

 

 ※ 本人のご了解を得て掲載しております。

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