女性弁護士のきらきらブログ

2013年03月18日 | 中溝明子

体罰について(1)

3月13日、文科省は「体罰と教育的な指導の違いを通知した」と報道され、話題になりました。

 

体罰を苦にした悲しい出来事が起こらないためにも、

誰もがこの問題を考えていく必要があるでしょう。

 

そこで、体罰問題について、少々整理したいと思います。

 

まず、基本的なことの確認。

「体罰」は学校教育法で禁止されています。

 

学校教育法第11条

校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

 

体罰は禁止されていますが、

教育上必要がある場合の「懲戒」は許されるということ。

 

そのため、どこまでが「懲戒」(教育的指導)で、どこまでが体罰なのかの区別が必要になるんですね。

 

体罰に関する国からの通知等は次の3つがあります。

○昭和23年12月22日付 法務庁法務調査意見長官回答

「児童懲戒権の限界について」

○平成19年2月5日文科省

 「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について(通知)」

○平成25年3月13日文科省

 体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」

 

 

これらの通知等では

学校教育法第11条の「体罰」について次のように開設されています。

 

懲戒の内容が「身体的性質のもの」である場合を指す。

身体的性質のものとは

(1)身体に対する侵害(殴る・蹴る等)

(2)肉体的苦痛を与えるようなもの(正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる等)

 

当該懲戒行為が体罰に当たるかどうかについては、

「当該児童生徒の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的及び時間的環境、懲戒の態様等の諸条件を総合的に考え、個々の事案ごとに判断する。」

「懲戒行為をした教員等や、懲戒行為を受けた児童生徒・保護者の主観のみにより判断するのではなく、諸条件を客観的に考慮して判断する。」

 

・・・といわれても、

具体的にどんな場合が体罰に当たるのか、イマイチ曖昧。

今回の通知では具体例が多く列挙されました。

学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例

 

①体罰に当たるもの

②認められる懲戒

③正当な行為(正当防衛等)

という分類で具体例が挙げられています。

 

正当な行為であっても、許される範囲は「押さえつけて制止する」「腕を引っ張って移動」という程度。

先生が叩かれたからといって、児童生徒を平手打ちするのは×とされています。

 

以上の通知の内容は、賛否両論ありますが、

この国の指針でありますから、一度目を通しておくことをオススメします。

今回は通知のご紹介まで。

次回は運動部活動の体罰についてお話ししようと思います。

 

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